第二章「もっと編入について知りたい」

第一章でだいたい編入の制度についてはわかったけど、まだまだ具体的なイメージが湧かない、ホントに受かるのかな、と思っているあなたに、ここでは一般入試との違いを意識しながら、編入試験について説明してみましょう。一般入試では難しかったけど、これならいけそう! きっとそう思えますよ!

一般入試と編入試験はどこが違うの?

一番の違いは当然入学年次です。そして、これが試験の目的や試験内容に大きく影響して、様々な面で一般入試との違いをもたらします。

大学の4年間は、かつては1・2年の教養課程と3・4年の専門課程に分かれる大学がほとんどでした。

昨今では、教養課程と専門課程をはっきりと区分する大学が減って、一般教育科目と専門教育科目を在学中にいつでも履修できるようにしたくさび形教育課程制度を取るところが増えました。

それでも、大学1年次では、自由科目、総合科目、共通科目などの名称で、従来の一般教養科目、すなわち語学や一般教育科目、体育などを履修し、2年次に引き続き不足分を単位取得しながら、専門基礎科目を履修し、3年次からは専門科目を自分の関心事で科目選択してより深く学習するのが一般的なかたちです。

必修にするところが減ったとはいえ、4年次に卒業論文や卒業研究を課す大学も、まだ、たくさんあります。

そのような大学のカリキュラムを踏まえて、みてみましょう。

高校卒業者の場合は、1年次から入学しますから、一般入試でみる学力は高校までの学習の成果です。そのため、国立と私立、理系と文系という大きな括りで試験内容が異なる程度で、学部・学科による試験内容の違いはあまりありません。そこで、文学部、経済学部、法学部と併願して、受かった学部に進学するというケースが生まれるわけです。

それでは編入試験はどうでしょうか。編入試験では専門科目を中心に学習する3年次から入学するため、すぐに専門の演習やゼミナールに所属することになリます。そのため、編入では、3年次からの入学でついていくだけの力があるのか、つまり大学1・2年次で修得すべき学力の有無がみられるのです。

そこで、筆記試験では、多くの大学が専門科目、それに語学(英語)を課します。

編入試験の筆記って?

専門科目とは、受験する学科の専門で、大学1・2年で学習するレベルです。

法学部なら法学や政治学が出題されます。英文学科なら英米文学史や英語学、あるいは受験者が関心ある作家・作品に関する論文を出題することがありますし、専門科目として英語を課すこともあります。

同様に英語についても大学1・2年次のレベル(外書講読)、つまり長文の出題が多くなり、学部学科によっては出題される英文自体が専門に関連した内容、専門英文になります。経済学部なら経済に関する英語の論文が出題されるわけです。

小論文を課す大学もありますが、この場合も多くの学部で、専門に関連したトピックスから出題されます。たとえば法学部なら「選挙権年齢の引き下げについて」といった具合です。

このように編入試験の筆記は、受験する学科に関連したものになります。

志望理由書と面接が課されるって聞いたけれど?

これが、もう一つ、一般入試とは異なる点ですね。多くの大学が出願時に志望理由書を提出させたり、面接・口頭試問を課しています。

編入では入学と同時にゼミナールまたは演習に所属し、学部学科によっては卒業論文や卒業研究の準備を始めなければなりません。したがって、志望理由書と面接では、大学3年からの入学について、どのような目的意識を持っているのか、具体的にはどのようなゼミナール・演習でどういう研究をしたいのか、という入学後の学習に対する意欲を問われるのです。

編入試験の合否のポイントは?

筆記試験、さらには面接などの内容をみると、これらの試験を通して大学側が確認しようとしているのは、受験生のその学科での学習に対する関心の深さ、意欲、それにつきます。これは3年次という専門課程からの入学であるためで、一般入試よりもむしろ大学院入試に近いのが、編入試験だといえるでしょう。

編入試験実施の目的って?

かつて、大学審議会は、平成5年度以降の学生数の減少への対処として、大学改革に関する答申を行いました。その中で、編入試験についても検討され、「大学への入学年次は1年次だけでなくてもよいのではないか」と提言しました。

地方で一般教養を学んだ者に東京で専門教養が受けられる機会を与える、また、自分の専攻分野により近い大学への転入学を希望する者を受け入れる、など、あくまで専門教養に対する高い目的意識を持った学生に対して便宜を図ることが、編入試験実施の目的なのです。

編入試験受験者の目的意識や勉強に取り組む姿勢は、一般に大学では高く評価されています。大学側からすると、編入生を受け入れることで学ぶ側の上昇志向に応えると同時に、もとからいる学生に刺激を与え、大学の活性化を図っていこうというわけです。

ですから、編入試験の受験生には受験学科・専攻での学習に対する意欲が求められます。入学年次が違うということは試験で問われる資質も大きく異なってくるということなのです。

編入試験の一番のメリットは?

高校生の時に、どれだけの方が自分の将来や勉強したいことを具体的に持っているでしょうか。でも、大学や短大に進学してから、あるいは社会に出てから、教師になりたい…、将来マスコミに就職したい…、カウンセラ-になりたい…、など自分の目的が見えてきた時-。

本当は○○学科で勉強したかった…、今の大学では思うような勉強ができない…、もっと刺激のある大学に行きたい…、など、自分が勉強したいこと、勉強したい場所がわかってきた時-。もともと四年制大学へ進学を志望していてあきらめきれない…、短大での勉強をもっと専門的に進めたい…、などの気持ちが強まった時-。

そんな時に、皆さんの前には編入という選択肢が存在するのです。

編入を目指す人の目的は様々です。編入試験の一番のメリットは、自分の目的に応じた受験ができる、ということなのです。一般入試受験時に、「たまたま受かったから~学科へ」、「高校で短大の推薦入試を勧められたから」、「周囲がみんな進学するから」など、目標のないまま進学する方は決して少なくないでしょう。

入学してから自分の勉強したい内容ではなかった、将来希望する進路とは関係のない学科へ進学してしまった、とミスマッチを後悔する方もたくさんいらっしゃることと思います。

現状に満足できないあなたにとって大きなチャンスが編入試験です。しかも、出身校で取得した単位を活かして2年で卒業できます。高校3年生の時にはやりたいことがはっきりしていなくても、進学してから、社会に出てから、勉強したいことや将来 の目的をみつけ、それに適した大学や学科に途中から入学できる、それが編入試験なのです。

編入試験のメリットはまだまだたくさんあります。順に説明していきましょう。

受験勉強したことが編入後に生かせる?

編入試験の受験勉強は、一般的に語学と専門(または小論文)で、専門はこれから自分が進学を希望する学科の内容です。もともと興味のある勉強ですし、受験勉強したことで試験に合格するだけではなく、入学後にさらに生きてくるのです。

よく、「編入後に周囲についていけますか」という質問を受けますが、しっかりと受験勉強をしていれば大丈夫。

以前、短大の家政科から神戸大学経営学部に進学した短大生に、「勉強についていける?」とたずねたところ、「受験勉強をしていたから編入後もついていけます」と力強い返事が返ってきました。

一般入試では英文学科や法律学科を受験するにもかかわらず古文の勉強をしなくてはなりませんが、受験が終わればそれっきりです。それどころか、古文が苦手で受験に失敗することもあります。そこが一般入試と編入試験の大きな違いなのです。

国立と私立で違いはあるの?

編入試験のための勉強が編入後に役立つのは、国立でも私立でも変わりありません。試験内容は基本的に国立も私立も同じ、国立の受験でもセンタ-試験を受ける必要がなく、試験日程さえ重なっていなければ何校でも国立大学を併願できる…それも一般入試と大きく異なる編入試験の魅力です。

出身学科と異なる学科を受験できるの?

法学部、経済学部などの社会科学系、文学部などの人文科学系の学部については、ほとんどの大学が学科を変えて受験できます。ただし、例外もありますので気をつけて。

理工農系の学部についてはどうでしょうか。理学部・農学部については文系からも受験できるところが多くなります。一方、同系統からのみ受け入れる大学は工学部によくみられます。

看護・医療・管理栄養など、国家資格に直結した学部学科は、残念ながら多くの場合、同系統からの編入です。ただし、看護学部は他学部からの学士編入を実施する大学がありますし、リハビリや管理栄養では他専攻の2年次在学者が受験できる大学もあります。

医学部はほとんどが他学部からの学士編入ですが、一部大学及び群馬大学では大学在学者も受験できます。

編入試験のよいところは、自分が本当に学びたい学部学科に3年次から入学できることです。中ゼミの編入志望者の半数は、学部学科を変更しています。このメリットをぜひ活用してください。

編入試験では複数学科を併願できない?

もちろん、出願はできます。しかし、編入試験は学部学科単位で試験内容が異なるわけですから、一般入試のようにあれこれと学部を併願することはきわめて困難です。特に専門の出題範囲が広い学科、例えば経済学部と法学部の併願は、まず不可能と考えてよいでしょう。

ただし、学問分野が近い場合、あるいは学際的な分野との併願の場合などは、筆記試験の内容によっては可能なこともあります。たとえば、英語・英文と国際文化、政治学と国際社会などが、あげられます。

とはいえ、志望理由書や面接対策まで考えると、中途半端な結果にならないように、よく検討する必要がありますね。

編入試験は一般入試より易しい?

以上のような状況から、大きなメリットも生まれてきました。それは、高校3年生の時の偏差値では決して受からなかった大学にも、編入試験なら合格できるということです。国立大学法学部に編入したある学生が、「先生が、編入生は易しい試験で入ってきた、一般入試では絶対に受からない、と言っている」と報告してきたことがありました。これは、言い換えれば、大学教授が編入を一般入試よりも易しいと認めていることになります。

一般入試の常識が通用しない?

中央ゼミナールでは、毎年多くの短大生が国立大学に進学しています。一般入試では偏差値が40そこそこだった、という方が、マーチレベル大学に合格します。

中ゼミ生の報告では、編入試験の合格を高校や短大の先生に話しても信じてもらえない、ということがあるそうです。それは高校の時の偏差値を基準に考えるからでしょう。でも、実際に一般入試の常識では考えられない結果を得られるのが、編入試験なのです。

なぜ、編入試験なら受かるの?

一番の理由は試験内容です。

試験科目が少ないこと。英語については長文が中心となるため、あれもこれも暗記する必要がなく、単語・熟語と長文和訳に対策を絞ることができます。専門についていえば、自分が進みたい学科の勉強をすることがそのまま受験勉強になります。本当にその学科での学習に関心を持っているのであれば、勉強は決して苦痛ではないでしょう。

また、専門の勉強は大学入学後にスタートすることがほとんどです。心理学を高校で勉強することはありません。つまり、高校での学習成果を試される一般入試とは違って、編入の場合は受験生が一から勉強を始めることになりますから、今までの成績は考える必要がありません。これからの取り組み次第なのです。一般入試でのマニュアル暗記式の勉強には向かなかった方でも、記述式の編入試験であれば、勉強に対する目的意識さえしっかりしていれば十分結果は出せるのです。

それから、受験者は今の状況に満足できない人です。言い換えれば、受験者の多くは、一般入試で思ったような結果を得られなかった人達です。

一部の国立大学志望者を除けば、不本意入学した学生や短大生が編入試験の受験の中心です。受験勉強でのスタートラインでは大きな差はありません。合否を分けるのはその後の勉強量や情報量の差なのです。

それだけに目的意識の高さ、これが大切です。実際に学生指導をしていると、受験生がおそらく高校生の頃よりも精神的に成長して、受験に対する目的意識もはっきりしていることを実感させられます。これといった目的もなくただ漠然とする受験勉強と、はっきりとした目的があっての受験勉強では、成果に大きな開きが生じることはいうまでもありません。一般入試とは一線を引き、新たな気持ちで勉強に取り組めるのが、編入試験なのです。

編入試験に偏差値は存在しない?

よく、編入試験の偏差値を教えてほしいという問い合わせがあります。答えとしては、編入試験には一般入試のような偏差値は存在しないにつきます。その大きな理由は、編入試験が多くの場合、欠員募集で行われていることです。そのため、欠員の状況次第で年によって合格者数が大きく変わる可能性があるわけです。

古い話ですがわかりやすい例で説明しましょう。

ある大学の一つの学科でのことです。一般入試の偏差値は60前後です。ここの編入試験はある年は志願者67名、合格者2名で34倍という厳しさでした。しかし、翌年は志願者が激減し、志願者27名に対し合格者4名で6倍強、そしてさらに翌年には志願者20名、合格者7名でなんと2倍強程度の倍率まで下がりました。ここの場合、欠員の多い少ないで合格者数が変わるわけですから、前年度の合格状況は参考になりません。一定の定員を対象としている一般入試とは全く状況が異なるわけです。

筆記試験の合格はどう決まる?

欠員補充での実施が多いとはいえ、すべての大学が欠員の状況によって合格者数を決定しているわけではありません。

特に一般入試で人気の高い大学の多くは、一定の合格ラインを超えた受験者を、人数に関わらず筆記試験で合格としています。社会系の学部では語学・専門ともに6割以上、あるいは語学・専門あわせて6割5分以上、文学部など人文系では語学・専門ともに7割以上が一般的な合格ラインです。この場合は、その年の問題の難易度によっても合格者数が左右されます。合格基準に達した受験生がいなければ、合格0ということもありえます。

一方で、欠員状況で合格者数の変わる大学の場合は、その年の受験者の成績分布によって、合格・不合格の線引きが上下するわけです。

編入試験の倍率って?

編入試験では、定員を設置している大学以外は、自分が合格ラインを超えるかどうかが大事で、倍率はあまり問題ではありません。

くわえて、編入試験では、きちんと準備をしないで運試しで受験する人が多いんです。実際に試験の採点をする大学教員の話では、編入試験は答案を見れば勉強したかどうかわかるそうです。

特に専門科目は大学で初めて勉強する内容ですから、準備をしていないと白紙答案になることが珍しくありません。

編入試験は一般入試のように誰もが受ける試験ではありませんし、多くの受験生が失敗しても今の大学にいればよいという、ある意味ぬるま湯の状態で受験しているのが大きな理由です。

真剣に勉強した受験生の間での実質倍率は、かなり低いと考えてよいでしょう。

中ゼミの模試の判定は?

それでは中央ゼミナールの公開模試は何を基準に判定を出しているのと聞かれそうですね。もちろん、編入試験でも、毎年一定の枠で実施がある大学学部学科の場合は、最低限必要な学力は判断できますし、あわせて今までの合格者の学力を基準に判定しています。そのため、A判定、B判定など、合格可能性が高いケースについては的中率も高いといえます。しかし、よく受験生からいわれるのが、「模試でD判定だったけれども合格した」ということです。実は合格可能性が10%以下のE判定で合格するケースがあります。本当に判定者泣かせです(もちろん合格することはうれしいことです)。

それでは、なぜこのような結果になるのでしょうか。その年の試験の出題レベルが易しかった、たまたま、欠員が多かった、などの理由が考えられますが、それは大学内部の事情ですから、事前に予想はできません。中央ゼミナールとしては、どうしても学力のみで判定を出さざるを得ないので判定が厳しくなるわけです。

これが無理に編入用の偏差値表を作成しても、ある程度の基準を示すだけにすぎず、とうてい皆さんには公開できない理由の一つです。

運が左右する? 編入試験

このように編入試験では、たまたまその年たくさん合格させた、受験者が少なかったなど、合否にあたって運が大きく左右することがあります。中には、筆記の点数は足りなかったのに、面接で熱意を認められて合格するケースもあります。行きたい大学があればとりあえずチャレンジしてみること、これが大切です。

逆にいえば、前年の合格者数が多かったからという理由だけで、受験前にこの大学は入りやすいと決めてかかるのは危険だともいえますね。

どんな合格例が?

ここまで読み進めても、まだ、一般入試受験の時には全く合格可能性のない大学だったから、あるいは一般入試の偏差値が高いから、絶対に合格できない!と考える方もいるでしょう。でも、それではせっかくのチャンスを無駄にしてしまいます。

中ゼミ生には、一般入試の偏差値だけで考えると、比較的難易度が低い私立大学に続けて失敗して、最終的に立教に合格した例や、一般入試の偏差値が40程度の私立大学に失敗して、国立大学に合格した例などがあります。

中ゼミ生の一般入試受験時の偏差値をみてみると、偏差値30台から70台まで様々ですが、主に50~55あたりに集中しています。しかし、ここ数年の合格実績をみると、国公立大学に、毎年のように多くの方が合格しています。出身短大・大学の知名度に関係なく合格を出していることも特徴の一つです。編入試験は、一般入試の時の偏差値に関係なく合格可能なことは明らかですね。

以上、『まるわかり!大学編入』文章編:第二章でした。

文章編:第三章「編入チェック点Q&A」もご覧ください。