公認心理師資格について

公認心理師法案が平成27年9月9日に成立し、平成27年9月16日に公布されました。心理学に関する国家資格は日本では初めてです。

国家資格として誕生した公認心理師ですが、これにより臨床心理士資格がなくなるわけではありません。臨床心理士資格認定協会は、「これからも「臨床心理士」を堅持し」、「公認心理師との適切で妥当な共存共栄関係の新たな創造をめざします」としています。今後は、臨床心理士と公認心理師が併存することになりそうです。

このページでは、公認心理師の資格を取得するにはどうすればよいのかについて、現状(平成28年1月時点)で公表されている情報をまとめました。

※当中央ゼミナールでは、公認心理師資格取得に向けた進路や受験対策に関する相談に乗ることはできますが、公認心理師制度自体や、政策に関するお問い合わせには対応いたしかねます。制度や政策に関するご質問については、文部科学省・厚生労働省に直接お問い合わせください。

1. 公認心理師資格の取得(公認心理師法4条)

公認心理師の資格を取得するには、公認心理師の国家試験を受けて合格する必要があります。試験は「公認心理師として必要な知識及び技能について行う」(同法5条)とされていますが、詳細は未定です。

2. 公認心理師試験の受験資格(同法7条)

次のいずれかの条件に当てはまる人が受験できます。

  • ① 大学で指定された科目を修めて卒業し、大学院で指定された科目を修めて課程を修了した者
  • ② 大学で指定された科目を修めて卒業し、指定の施設(未定)で指定された期間(未定)公認心理師としての業務(同法2条)に従事した者
  • ③ ①②と同等以上の知識・技能があると文部科学大臣・厚生労働大臣が認定した者

受験資格の対象は、基本的には①の大学院修了となるようです。②の条件については未定な部分が多いため、②の条件に該当する人数がどの程度になるかは現状ではわかりません。

3. 大学・大学院での教育カリキュラム

同法7条で指定されている「心理学その他の公認心理師となるために必要な科目」とはどのような科目でしょうか。最終的には、文部科学省令・厚生労働省令として定められるようですが、現段階(平成28年1月時点)では大学・大学院での教育カリキュラムについて『公認心理師教育カリキュラム案』としてまとめられています。

同カリキュラム案によると、学部教育では心理学概論・心理学研究法・心理学統計法などの基礎科目に加え、心理学の幅広い分野について学ぶことになります。大学院では、臨床心理学に加え、医療や教育などの各領域についても学ぶことになります。また、大学院では270時間の実践実習が必要となります。修士論文の提出・審査合格は公認心理師資格の受験要件となりますが、単位化はされないようです。

同カリキュラム案の詳細については日本心理学諸学会連合のウェブサイト(http://jupa.jp/)を参照してください。

4. 法律の施行日(同法附則1条)

同法は公布日から2年以内に法律が施行されます(同法附則1条)。同法公布日は平成27年9月16日ですから、公布日から2年後の平成29年9月16日までには、同法が施行されることになります。

5. 経過措置(同法附則2条:受験資格の特例)

次のいずれかに当てはまる人は同法7条の規定に関わらず、試験を受けることができます。

  • ① 同法案の施行日前に大学院の課程を修了し、その大学院で公認心理師となるために必要な科目を修めた者
  • ② 施行日前に大学院に入学し、施行日以後に公認心理師となるために必要な科目を修め課程を修了した者
  • ③ 施行日前に大学に入学し公認心理師となるために必要な科目を修め卒業し、施行日以後に大学院で公認心理師となるために必要な科目を修め課程を修了した者
  • ④ 施行日前に大学に入学し公認心理師となるために必要な科目を修めて卒業し、法案で指定された施設で指定された期間以上、公認心理師としての業務(同法3条)を行った者

文部科学省に問い合わせたところ、公布日の2年後から施行日が大幅に前倒しになることはほとんどないため、平成29年4月の時点で大学院に在籍している方は、同法附則2条②の要件に当てはまり、経過措置を受けることができる見込みだそうです。つまり、平成28年度に実施される入学試験に合格し大学院に平成29年4月入学すると、心理系の学部を卒業していない場合でも、大学院修士課程を修了することで、公認心理師の受験資格を得られるようです。ただし、法律の施行日が前倒しになる可能性は皆無ではないので、現時点で確実なことはいえない状況です。

以上、公認心理師資格について現状知り得るところをまとめましたが、同法や公認心理師資格についてさらにお問い合わせになりたい方は、文部科学省・厚生労働省に直接お問い合わせください。

参考文献