留学生のための「日本の大学院制度」の解説

日本の大学院制度

日本の大学院の課程には、「修士課程」「博士課程」「専門職学位課程」があります。「修士課程」を「博士前期課程」、「博士課程」を「博士後期課程」と表すこともあります。

「修士課程」は、一般的には修業年限が2年で、修了すると修士の学位が授与されます。

「博士課程」は、修士の学位を授与された者が対象で、修業年限は3年です。

「専門職学位課程」は、高度な専門的知識を要する職業を担うために学識・能力を養うことを目的としており、修業年限は2年あるいは1年です。修了した者には専門職学位が授与されます。専門職学位を授与された者も、原則として「博士課程」の入学選考試験を受験することができます。

日本の大学院制度

留学生選抜の大学院入試形態

大学院入試に向けた勉強について心配する方が多いと思います。確かに英語や専門論文が課され難しいところもありますが、英語が出題されない、面接だけで受験できる、中国語を日本語に翻訳すればよいなど、さまざまな大学院があります。まずは情報収集です。

大学院入試(留学生選抜)の入試形態を大別すると以下の5つです。社会的評価の高い東京近郊の大学院・研究科をいくつか挙げましたので、参考にしてください。

※下記の入試形態は前年度のものです。必ず最新の試験要項でご確認ください。

外国語(英文和訳、記号選択、TOEFL⁄TOEIC)・専門科目か小論文・書類審査・面接

国立

  • 東京大学大学院 法学政治学研究科
  • 東京大学大学院 経済学研究科
  • 東京大学大学院 教育学研究科
  • 東京大学大学院 総合文化研究科(外国人出願者は専攻により語学が日本語のみ)
  • 東京大学大学院 情報学環・学際情報学府(夏)
  • 東京大学大学院 人文社会系研究科
  • 東京大学大学院 農学生命科学研究科
  • 東京大学大学院 工学系研究科
  • 東京大学大学院 医学系研究科
  • 東京大学大学院 公共政策学教育部
  • 一橋大学大学院 経済学研究科
  • 一橋大学大学院 経営管理研究科
  • 一橋大学大学院 言語社会研究科(秋)
  • 一橋大学大学院 社会学研究科(秋の総合社会科学)
  • 一橋大学大学院 国際・公共政策大学院(一般)など
  • 東京工業大学大学院 全研究科(B日程)

私立

  • 早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科
  • 早稲田大学大学院 経済学研究科
  • 早稲田大学大学院 法学研究科
  • 早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科
  • 早稲田大学大学院 人間科学研究科
  • 慶應義塾大学大学院 経済学研究科(秋)
  • 慶應義塾大学大学院 商学研究科
  • 慶應義塾大学大学院 法学研究科
  • 慶應義塾大学大学院 文学研究科
  • 慶應義塾大学大学院 社会学研究科
  • 慶應義塾大学大学院 医学研究科
  • その他、MARCHなど

外国語なし・専門科目か小論文・書類審査・面接

国立

  • 一橋大学大学院 社会学研究科(留学生試験)

私立

  • 早稲田大学大学院 経営管理研究科 
  • 早稲田大学大学院 会計学研究科 
  • 早稲田大学大学院 教育学研究科(留学生はN1の提出で英語なし) 
  • 早稲田大学大学院 日本語教育研究科 
  • 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科
  • 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科
  • 慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科(小論の中に少し英語) 
  • 上智大学大学院 地球環境学研究科(小論の中に少し英語)
  • 明治大学大学院 ガバナンス研究科
  • 明治大学大学院 政治経済学研究科(研究者コース以外)
  • 立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科
  • 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科(留学生試験)
  • 法政大学大学院 政策創造研究科
  • 法政大学大学院 国際日本学インスティテュート(留学生は小論文と面接)
  • 法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科(外国人)
  • その他、MARCHなど

書類審査(TOEFL⁄TOEICなし)・面接のみ

国立

  • 東京大学大学院 新領域創成科学研究科人間環境学(特別口述試験)
  • 東京大学大学院 新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻(特別口述試験)
  • 一橋大学大学院 社会学研究科(地球社会研究専攻の秋と春)
  • 一橋大学大学院 社会学研究科(総合社会科学専攻の春)
  • 一橋大学大学院 経済学研究科(特別選抜入試)
  • 一橋大学大学院 言語社会研究科(春)

私立

  • 慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科
  • 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
  • 慶應義塾大学大学院 経済学研究科(春)
  • 明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科
  • 青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科
  • 青山学院大学大学院 国際政治経済学研究科(留学生は書類審査と面接)
  • 青山学院大学大学院 経済学研究科 公共・地域マネジメント専攻
  • 青山学院大学大学院 法学研究科ビジネス法務専攻
  • 中央大学大学院 戦略経営研究科
  • 法政大学大学院 公共政策研究科
  • 法政大学大学院 連帯社会インスティテュート
  • その他、MARCHなど

英語(TOEFL⁄TOEIC)・書類審査・面接

国立

  • 東京大学大学院 情報学環・学際情報学府文化・人間情報学専攻(2月)
  • 一橋大学大学院 社会学研究科(特別選抜)
  • 東京工業大学大学院 環境・社会理工学院社会・人間科学コース(A日程)
  • 東京工業大学大学院 環境・社会理工学院地球環境共創コース(A日程)
  • 東京工業大学大学院 環境・社会理工学院技術経営専門職学位課程(A日程)

私立

  • 早稲田大学大学院 政治学研究科
  • 早稲田大学大学院 経済学研究科(経済学検定のスコアにより経済学の筆記免除)
  • 早稲田大学大学院 社会科学研究科
  • 早稲田大学大学院 文学研究科(論文特別選抜入試)
  • 早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科
  • 早稲田大学大学院 情報生産システム研究科
  • その他、MARCHなど

書類審査のみ

国立

  • 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 人間環境学専攻(留学生試験)書類に英語の語学能力証明書(TOEIC・TOEFLなど含む)
  • 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻(留学生試験)書類に英語の語学能力証明書(TOEIC・TOEFLなど含む)

私立

  • 早稲田大学大学院 国際コミュニケーション研究科(書類に英語の語学能力証明書(TOEIC・TOEFLなど含む)
  • 早稲田大学大学院 情報生産システム研究科(日本以外からの出願)
  • 早稲田大学大学院 日本語教育研究科(日本以外からの出願)
  • 慶應義塾大学大学院 法学研究科(留学生試験)
  • 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科(日本以外からの出願)
  • その他、MARCHなど

外国人留学生の大学院受験資格

一般的に、外国人留学生が日本の大学院を受験される際の受験資格は次の二通りです。

受験資格は志望する大学院によって異なるので、必ず事前に、各大学院・各研究科の入学試験要項をご確認ください。

1 日本国以外の国籍を有し、当該外国の学校教育における16年の課程を修了した方

例)中国の学校制度

小学校

6年制

(5年制)→

中学校(初級中学)

3年制

(4年制)

高等学校(高級中学)

3年制

大学(大学本科)

4年制

合計で16年

ただし、大学専科(3年制)や短大(それに準ずる教育機関)卒業でも、大学院ごとの受験資格審査によって、受験資格を与えられることがあります。また、飛び級などによって16年に満たないケースも同様です。例外もありますので、試験要項で確認してください。

2 日本の大学をすでに卒業、あるいは卒業見込みの方

他にも以下のような条件を求められることがあります。

日本語能力試験

日本語能力試験日本語能力試験は、日本語を母語としない人を対象として、日本語能力を測り、認定する検定試験です。認定レベルはN1~N5(2009年以前は1級~4級)で、N1が最上位になります。

大学院入試では、N1もしくはN2レベルの日本語力が必要です。

日本語能力試験 公式サイト( http://www.jlpt.jp/ )

N1・1級取得を受験要件としている主要大学院

  • 一橋大学大学院 経営管理研究科経営学修士コース
  • 早稲田大学大学院 政治学研究科
  • 早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科
  • 慶應義塾大学大学院 経済学研究科
  • 慶應義塾大学大学院 商学研究科
  • 明治大学大学院 政治経済学研究科
  • 明治大学大学院 商学研究科
  • 明治大学大学院 国際日本学研究科
  • 青山学院大学大学院 国際政治経済学研究科

N1取得が望ましいとしている主要大学院

  • 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科
  • 立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科

N2・2級取得を受験要件としている主要大学院

  • 一橋大学大学院 国際・公共政策教育部
  • 法政大学大学院 キャリア・デザイン学研究科
  • 中央大学大学院 経済学研究科
  • 中央大学大学院 商学研究科

日本留学試験

日本語能力試験に代えて日本留学試験(EJU)の「日本語」の成績通知書でも出願できる大学院があります。詳細は各大学院の募集要項でご確認ください。

TOEIC・TOEFLなど英語能力試験

日本の大学院入試において、英語の語学能力証明書の提出を求められる場合があります。主にTOEICやTOEFL、IELTSです。

TOEICは、中国ではあまり知られていませんが、日本では主流となる英語能力検定試験です。TOEICにも種類がありますが、特に大学院から指定がなければTOEIC公開テストのL&R(Listening & Reading Test)のスコアを提出します。なお、TOEIC公開テスト以外にも学校や企業が行うTOEIC-IPテスト(団体特別受験制度)がありますが、TOEIC-IPテストのスコアでは提出できないことが多いのでご注意ください。

TOEIC 公式サイト( http://www.toeic.or.jp/ )

出願に必要な証明書について

出願書類の証明書について

外国人留学生の場合、ほとんどの大学院の出願書類で必要となる証明書は次の3つです。

  • 1 卒業証明書もしくは卒業見込証明書
  • 2 学位認証書・学歴証明書
  • 3 成績証明書

日本語・英語以外の証明書では、原本に加え、翻訳と公的機関の公証書を求められる場合があります。証明書の手配には時間がかかることが多いため、余裕をもって準備しましょう。

大学院入試の出願書類は、受験する大学院・研究科によって異なるので、事前に必ず確認してください。なお、推薦書などが必要なこともあります。

外国人留学生のための大学院入試Q&A

いろいろな名称の研究科があってよくわからないのですが?

東京大学大学院情報学環・学際情報学府、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科のように、名称からは何を研究するところなのか具体的な内容が掴みにくい、文系と理系が融合した大学院が増えています。そのような研究科では、一つの研究科のなかに、経済、経営、政治、法律、文学、理工系など、幅広い学問分野が設置されています。そのため、受験大学院を選ぶときに見落とすことがあります。

中央ゼミナールでは、大学院受験に詳しい先生が、どの研究科が自分に一番合っているのか、どのような受験対策が効果的かなど、一人ひとり相談にお答えします。

研究分野は、いつ頃までに決めれば受験に間に合いますか?

研究分野を決めてから出願まで一般的には6ヶ月は必要で、最低でも3カ月はかかります。そのため、志望大学院の出願日から逆算して決めておく必要があります。受験対策を進める中で、研究対象についての関心度合いなどを考慮しつつ、やりたいことを固めていき、研究分野を明確にしていきましょう。

大学院で卒業大学と異なる専攻に進学することは可能ですか?

例外もありますが、一般的には可能です。実際に中央ゼミナールで大学院入試対策をして、異なる専攻への進学を実現している方は少なくありません。

出身大学が日本と異なり3年制ですが、受験することはできますか?

出願の3カ月前までには、受験を希望する各大学院の問い合わせ先に連絡をしてください。資格審査(出願の1~2ヶ月前)を受け受験資格が認められれば、出願することができます。

留学生のための選抜試験はありますか?

東京大学大学院法学政治学研究科、総合文化研究科、慶應義塾大学大学院文学研究科、社会学研究科など、外国人特別選抜を実施している大学院があります。また、日本人と同一の試験であっても、試験問題が英文併記であったり、英語での論述解答が認められるなど、留学生に対し配慮されている場合もあります。希望進学先の大学院に確認してみてください。

英語で授業を受けられますか?

東京大学大学院や早稲田大学大学院、慶應義塾大学大学院などの一部の研究科、専攻、プログラムでは、英語のみで授業を受け学位を取得できますが、大部分の大学院の授業は日本語で行われます。なお、英語による特別プログラムを別途設置している研究科もあります。

過去の入試問題は見ることができますか?

過去問題の公開の有無は大学院によって異なります。希望進学先の大学院窓口にお問い合わせください。一部の大学院ではウェブで閲覧ができます。

大学院の併願はできますか?

大学院は試験日(筆記試験・口頭試問)が重なっていなければいくつでも併願が可能です。試験科目や研究テーマに合わせて絞り込んでいくと、効率よく受験ができます。

志望する大学院の研究室を訪ねたほうがいいと聞いたのですが?

研究室を訪問し、指導を希望する教員と話をすることは、教員との相性や研究室の雰囲気を確認したり、ホームページからではわからない貴重な情報を得るいい機会になります。出願の際に希望する指導教員の許可が必要なこともあります。

ただし、研究室訪問をする際には、自身の研究内容を明確にしておく、教員の論文を読んでおくなど、しっかり準備をしていきましょう。

また、研究室訪問については、同じ大学院でも研究科によって事前訪問を奨励しているところと、説明会・相談会への参加を促しているところがあるなど対応が異なります。各大学院・研究科主催の説明会やホームページなどで確認しましょう。

大学院入試は年1回だけですか?また、入学時期は4月のみですか?

年1回の大学院もありますが、複数回実施されるのが一般的です。

また、秋学期入学(9月・10月)を実施している大学院もあります。各大学院・研究科の試験要項で確認しましょう。

願書はどうしたら入手できますか?

請求方法・配布時期等は、それぞれの大学院で異なります。受験を希望する大学院のホームページ等で確認をしてください。

出願は大学まで直接行かなければいけませんか?

出願は郵送が基本です。必ず郵便局の窓口から出してください。一部の大学院では、Web出願システムを導入しています。詳しくは大学院のホームページや募集要項で確認してください。

研究生の受け入れはありますか?

ほとんどの大学院で外国人留学生の研究生を受け入れています。入学時期は4月(出願は12月以降)と10月(出願は6月以降)です。

ただし、大学院によっては、研究生では留学ビザの期間更新を認めていない場合があるので注意が必要です。また、研究生としては不可でも、科目等履修生という制度で留学ビザの期間更新が可能な大学院もあります。詳細は各大学院へお問い合わせください。