あなたも有名大学院生になれる!

大学院入試指導で合格実績ナンバー1の赤田講師が率直に語る、現代大学院事情

インタビュアー:中央ゼミナール ステップアップサポート部 宍戸部長

私が赤田です。
部長の宍戸です。

第1章 変わりつつある大学院

東大・早慶上智の大学院も夢ではない

部長:昨年度(2018年度)も赤田先生が担当されている大学院コースでは、すばらしい合格実績があがりましたね。

赤田:東大に、心理・教育をあわせると合計25名合格しました。早稲田は32名、慶応24名が合格しました。

部長:東大の院は、東大の優秀な学生が進学するというイメージがありますが。

赤田:今は、東大生でも必ずしも優秀な方が、大学院に進学するわけではありません。そういう人は外資系金融機関に就職したりします。ですから、教授がぜひ大学院に行ってほしいと考えるような人材が、必ずしも東大の院を受験するわけではないんです。

部長:それでは、中ゼミではもともと高校生の時に受験する一般入試で、東大や早慶を狙えるような学力の方が受験されているから、合格しているのでしょうか。

赤田:18歳の大学受験の時に東大に合格するような実力の方が、中ゼミから東大の大学院に合格しているというわけでは全然ありません。昨年度合格された方は、1名を除き東大以外の大学の出身者です。

部長:例えば、合格者の出身大学を挙げるとどのようなところですか?

赤田:昨年は、いわゆる成成明学、東京4理工からも合格しています。もちろんMARCHからも合格が出ていますし、早稲田、慶応、国公立の方も当然います。東大大学院への入学者から聞いたところによると、湘南工科大、玉川大、東京国際大などから合格した方もいるようです。もちろん、限度はありますが、大学受験と比べればチャンスはずっと大きいです。今は日大や麗澤大、南山大、同志社女子大出身の東大教授もいらっしゃる時代ですから、以前と比べるとハードルがずいぶん下がっていると言えるのではないでしょうか。

部長:東大は一般入試では最難関ですが、大学院だともっと難しいという印象を持っていました。昔だったら大学の先生になるような学力の方がいくところというイメージがあります。でも、今は随分変わってきていると考えていいのでしょうか。

赤田:そうですね。1991年に当時の文部省が、少子化時代を踏まえて大学院を拡大して、日本の高等教育の門戸を広げようという方向性を打ち出して以来、東京六大学や国公立大学など、一定水準以上の大学は大学院を増やしました。かつて大学院は博士課程まで行って研究者になる人が進学するところだったのが、最近では生涯学習や学部の4年間に更にプラスして学ぼうという方の進学が増えています。大学院側も学者になる人ばかりに入学されても修了後にポストがないので、むしろ、修士課程までという方を歓迎する傾向にあります。

部長:それでは早稲田・慶應・上智は、どういう学生さんが受験して合格されるんですか。

赤田:早慶・上智からそのまま進学する人もいますし、MARCHから早慶・上智もいるし、日東駒専や大東亜帝国からもいます。大学受験の時の偏差値が40台という方もいらっしゃいますね。早稲田・上智でも、志望者が少なくて困っている研究科が特に入りやすくなっています。

部長:昔の大学院だと出身大学の院にそのまま進学するケースが多かったと思いますが、最近では、たとえば明治を受けるのは日東駒専とかのレベルの大学からで、明治の学生は早慶とか東大を受けるとも聞きます。そういう意味では今の大学院受験は、下剋上といったら大げさですが、早稲田から早稲田というよりは、もっと上狙いって感じがあります。大学院進学は、もちろん研究目的ではありますが、どうせ行くなら今いる大学よりも有名大学院へという、学歴改造という意味が含まれてきてますね。

赤田:それは、当然あります。

学部と院で異なる専攻への進学も可能、様々な学びのできる研究科も増えている

部長:大学院は以前だと経済学部を卒業したら経済学研究科にいくというイメージがありましたが、今では必ずしもそうではないようですね。それに、ずいぶん特色のある大学院が、数多くできているようですね。

赤田:かつては学部で4年間やった学問を、更に大学院で追究するということが一般的でした。海外とは異なり、日本では単一の学問を深く専門的に追究することがすばらしいという固定観念がありました。でも、最近では、学部の専攻と院の専攻を変えるということは珍しいことではなくなりました。分野横断的にいろいろなことを学べる、いわゆる「学際分野」の学部や大学院が増えてきましたし、そういう大学院で学びたいという中ゼミ生もたくさんいます。学際的な大学院は開放的なところが魅力ですね。
たとえば、以前、ある大学の日本文学科の学生が早稲田の国文を受けたくて、早稲田の先生に会いに行ったんです。そうしたら狭い世界なので、自分の在籍大学の先生に伝わって怒られたということがありました。でも、最近では比較文学や比較文化系でも日本文学を研究できる大学院があります。そういうところでしたら、国文という学問的文脈ではなく、比較文化の観点から研究したいため、他の大学院へ行きたいと在籍大学の先生に言えます。

部長:かつては、学部が国文でなかったら国文専攻への大学院は門前払いっていうケースもあったし、大学院から大学を変える場合には元の大学の先生の紹介がないとだめだとか、そういったケースもありましたよね。でも、一口に文学研究といっても、今ではいろいろな切り口があるということですね。

大学院の試験制度が変わった! 面接のみの一流大学院も

部長:今までうかがってきたことが可能になったのは、試験制度自体が変わってきていることが大きいと思いますが。従来のように英語と専門科目の筆記がある試験では、そう簡単には合格できませんよね。

赤田:そうですね。従来は大学院の試験といえば英語と第二外国語の二カ国語の和訳と専門、面接でした。今、第二外国語の試験を課しているのは、東大・京大などの旧帝大や、早稲田・慶應などのごく一部の文学研究科ぐらいで、一カ国語の試験かTOEIC等のスコアで代用する大学院や語学の試験自体がない大学院もあります。語学だけではなく一切の筆記試験がない、つまり面接試験だけの大学院試験を実施している大学院もあり、その中には、東大・早稲田・慶應も含まれています。

部長:東大や早慶にも、そういうところがあるんですか。

赤田:むしろマーチより下のレベルの大学院ほど、語学・専門・面接の試験を実施しています。

部長:面白い現象ですね。偏差値的には低い大学の大学院ほど、従来通りの試験を実施しているということですね。大学院入試では、一般的に敷居が高いと思われている早慶上智の方が、実は間口が広いということですね。

赤田:そうです。

学際的な学部のない研究科に、東大でも外部の学生に入学するチャンスあり!

部長:どうしてこのようなことが起きているのでしょうか。

赤田:文部科学省から言われて学部のない独立した大学院を新設してみたものの、学生募集が思うようにいかなかった難関大学院ほど、学生集めのために、慌てて多様な入試制度を用意して皆さんを待っているわけです。学部がない研究科の場合は、閉鎖や統廃合になると教授達もポストがなくなって困るケースがあるでしょうから。大学院によっては、例えば50人の定員を埋めなければいけないという都合がありわけです。

部長:それでも、誰でも合格できるというわけには当然いかないと思いますが。

赤田:大学院の側からすれば、合格には、是非入学して欲しい人、まあ入学してもいいかなという人、経営のために合格させようという人の3段階があるわけです。

部長:3段階目にいたとしても、合格は可能と言うことですね。従来の大学院とは本当に異なっていますね。

赤田:大学院は、一般的に昭和からあるような文学研究科、法学、経済学研究科といった研究科だけではなく、1990年代以降に、本当にたくさんの研究科ができましたから、情報収集が大事だと思います。昔からあるところだと、もともと受け入れ人数、つまり定員が少ないのと、内弟子の人が学部から上に行くので、外部から入学することは難しいんです。たとえば東大なんかも、実質、内部生でかなり埋まってしまう研究科や専攻もあります。中ゼミでは、そういうところへ入る人もいることはいますが。

部長:昔からあるような大学院だと、いまだに内部からの人が有利なところもあるわけですね。学際的な大学院の場合とそこが異なるということでしょうか。

赤田:たとえば、哲学で大学院へ行こうと思ったら、東大の中でも必ずしも文学部や教養学部の院だけではありません。学際情報学環でも新領域創成科学研究科など学際的な研究科でも、哲学を学ぶことができます。そういうところは学部がありませんから、内部から上がる人がいません。内部がいないということは、東大としても定員を埋めるために、外部からの受け入れに積極的にならざるを得ないわけです。実際、情報学環・学際情報学府の東大生の割合は多くても半分くらいで、新領域創成科学にいたっては、年にもよりますが、1割程度とみられます。

部長:たとえ東大でも外部の学生に入学するチャンスがあるということですね。

学生を求めて大学教授は全国をゆく

赤田:もちろん昭和からあるようなところでも外部生が行くことはできますけれども、優秀な東大生であればほぼ自動的に上がりますよね。一方で独立研究科の新領域創成だったりすると定員は400人近くあるうえ学部がないわけですから。

部長:400人近くですか。

赤田:はい。学際情報学府も100人位定員があります。しかも、研究科や専攻の名前が、たとえば社会文化環境、新領域創成とか、普通の人には何のことだかわからないと思います。実はそのなかで哲学、倫理学、考古学、社会学とか、さまざまな分野の研究ができるんですが、なかなかそこに気付ける人はいません。そのため、思いのほか受験生がいないので、向こうもまあよく来てくれましたねというようになりますよね。たとえば、東大の新領域創成は、わざわざ大阪に、教授が15人位出張説明会に行くほど、学生の質を高めたいと考えていらっしゃるようです。京大文学研究科や人間環境研究科、アジアアフリカ地域研究研究科は逆に東京で説明会をしています。

部長:どうしてこのような状況になったのでしょうか。それもいわゆる社会的評価の高い大学院にそのような傾向が見られるのも不思議です。

赤田:MARCHより下の大学では、そもそも文部科学省に言われてもあまり研究科を作らなかったんです。学生集めに苦労することも予想できますし。それに先生方の多くが、一流大学の院を出て母校のポスト、もしくはいい大学のポストが空くまで待つという、いわゆる一種の職場ロンダリングですよね。教授自体がそういう意識ですから、今勤めている大学が出身校やトップ校でない場合は、愛校心が薄い場合もあるんですよ。でも、MARCH以上だとそこの大学出身の人は愛校心もあるし、学長・学部長・学会長を目指して実績を残したいですしね。そこで大学院を増やすことに積極的だったわけです。その結果、特にMARCH以上の独立系の大学院は定員が多くなってしまい、学生募集で苦労しています。定員割れだと補助金ももらえなくなりますし。

部長:それで、偏差値の低い大学院より高い大学院のほうが入りやすいという逆転現象が起きるわけですね。

赤田:たとえば、ある大学の学生が早慶上智と複数受かったんですけど、偏差値的には低い出身大学だけ落ちるということも起きています。落とした自学の学生が東大のマニアックな院に合格して、先生が驚いてしまったという話も聞いています。