教員採用試験合格者座談会

「教師になりたい、でも、本当に採用試験に合格できるの?」

「編入生は採用試験、不利なのでは?」

「他学部出身なのだけれど……ゼロから大学院で取得した教員免許で、採用試験は大丈夫?」

こんな不安な声を、編入学・大学院進学を検討中の方からよくお聞きします。

実際のところ、どうなのでしょうか??

今回、中ゼミ卒業生で、今年の教員採用試験に合格された方々に、直接、お話をお聞きする座談会を企画しました。

ご覧いただけましたら幸いです。

皆さん、本日はお集まりくださいましてありがとうございます。

このような形で皆さんに再会できるというのは、本当に嬉しいことです。教師になりたいという夢を持って中ゼミで学ばれ、大学・大学院に合格され、そして教員採用試験にも合格されて、4月からいよいよその夢がかなうわけですね。

本当に皆さん、教員採用試験の合格、おめでとうございます。

皆さんの他にも、中ゼミで学んで教育系の大学に編入されたり大学院に進学されたりした方々から、教員採用試験合格のご連絡をたくさんいただいております。本当に嬉しく思います。

ところで、今回、このような座談会を行なおうと思った経緯について、少しお話ししておきたいと思います。

中ゼミにご相談にみえる方々の中には「編入して大学が変わることが教員採用試験で不利になるのではないか」「全く違う分野の出身なのに大学院で教育系に変更して、教員採用試験に合格することができるか」ということを心配されている方も少なくありません。社会人でお仕事を辞めて進学される方も、採用試験について本当に心配されているようです。

全く問題ありませんよ、というようにお話しさせていただくのですが、それでも多くの方は、まだ心配なようです。

それで、実際の編入学をして、あるいは、他分野から教育系の大学院に進学して教員採用試験に合格された皆さんをお迎えして、率直にお話ししていただこうと思ったわけです。

もちろん、編入して短期間で採用試験の合格に至るまでには大変なこともあったかと思います。また、他分野から、そして、ゼロから教員免許を取得される上で、大変なこともあるかと思います。そのあたりも率直にお話しいただけるとありがたく思います。

では、どなたからいきましょうか。今日は、修士3年、修士2年、修士1年、学部4年と全部そろっていますね(笑)。では、学年が一番上のY君からお願いしましょうか。

Y君が修士3年ですか。本当に早いものですね。

本当に早いですね。ほんと、信じられないです。あっという間でした。本当に。

ではY君、自己紹介からお願いできますか。

はい。現在、上越教育大学大学院修士3年です。上越教育大学大学院の教員免許取得プログラムは、3年間が修業年限ですので、修士3年、今年で修了予定です。

もともと、都内の美術大学に通っていたんですが、大学在学中にボランティアで子どもの造形教室に通っていました。そこで、子どもに教えることは楽しいなあって思うようになりました。それで、教師になりたいと思うようになったんですが、当時在籍していた美大では小学校の教員免許を取得することができないので、どうしようかなと思い、中ゼミに相談に行きました。

それで、高橋先生にお世話になることになり、高橋先生からも、教員免許を取得するならば上越教育大学大学院がいいんじゃないかというようなお話があったので、上越教育大学の教員免許取得プログラムの試験を受けました。無事、合格をいただきましたので、上越教育大学大学院に進学しました。

初めての土地でもありましたので、はじめは不安もありましたが。入学してみると、院生の数も多くて、学部生と同じくらいの数、大学院生がいます。院生は、ストレートマスターだと教員免許取得プラグラムを受講されている方が多くて、だいたい、教員免許取得プログラムの受講生です。あとは、現職派遣で大学院にいらっしゃる、現場の先生方も多いです。同じ院生として、ともに勉強をしていくんですが、そうした先生方から、直接現場の話などを聞くこともでき、とても刺激になっています。教職を目指すストレートマスターにとっては、とても良い学びの場になっているのではないでしょうか。それで、周りの教員免許取得プログラムの受講生にも助けられて、一緒に教員免許を取得するんだ、というような雰囲気もあって、非常に勉強をしやすい環境にありました。

それから、教員免許取得プラグラムでいいのは、教員免許は何でも取得できる、ということです。そこは非常に良くて、私は教科・領域専攻に所属していて、特別支援教育専攻ではないのですが、今、特別支援教育の教員免許も取得しようとしていますし。

それから、他教科も取得できるんですよね。例えば、国語コースに在籍していても、理科とか、他教科の教員免許も取得できるんですよね。

はい。取得できます。

全員えーーっ!!

ほんと、すごいプログラムだよね。

全部、取得できます。

最高で何種類くらいの教員免許まで、取得できるんでしょうか。

どれくらいでしょうかねえ。私は、結構、取得している方なんですけれど、小学校と中学・高校と、特別支援教育の教員免許を取得中です。ですので、4つの教員免許は取得できると思います。

で、Y君は、学部で、高校(情報)の教員免許は取得されているんですよね。

はい。

例えば、国語コースに在籍していて理科の教員免許を取得するときに、風当たりが強いとか、そういう問題はないのかしら?

履修の段階で、指導教員に相談したりするんですけれど、授業がどれぐらい入ってるか、といった話のときに、しっかり話ができれば何も問題はないと思います。ただ、理科の教員免許を取得するとなると、理科コースの人が当然多いので、その中に一人混じって、ということはありますが。

でもまあ、取得しようと思えば取得できる……。

はい。いくらでも取得できます。

そういう教員免許取得プログラムもありますし、それから、上越教育大学がいいなあと思うのは、就職にあたって、以前、教員採用試験で面接官をされていた先生がいらっしゃって、そういう方たちの指導が受けられるというのは、大きいです。教員採用試験の二次試験対策で、模擬授業とか個人面接とか。しっかり、みっちり、指導してくださいますので。そういうところも非常にいいところだと思います。

Y君が今回合格された教員採用試験は「大学推薦」の枠ですよね。

はい。

上越教育大学では、大学推薦で受験される方は多いものですか。

そうですね。僕は、指導教員の先生に推薦するとおっしゃっていただきました。学内で審査があるんですが、わりと周りも、大学推薦で教員採用試験を受験していると思います。意外と多いと思います。

推薦の枠が結構あるんですね。

そうですね。結構、関東地方だけじゃなくて、関西、大阪なんかの推薦もありますので。推薦の数は多いと思います。

もちろん、推薦の枠は、小学校かしら?

ええ、もちろん、小学校です。

中学や高校の推薦は少ないのでしょうか。

あんまり無いですね。理科とか、教科が限られています。

教員採用試験、僕は推薦で一次試験が無かったんですが、元校長先生たちのアドバイスがありますから、一次試験は自分で頑張って、二次試験はそういう先生方にアドバイスをいただければ、合格に近づけるかと思います。

それから、上越教育大には、過去の教員採用試験の受験者のデータがそろっていて、そこで試験にあたってのアドバイスが書かれたプリントもありますから、そういうものを参考にしながら、対策も立てられるようになっています。

わお、中ゼミみたい(笑)。そうすると、進学された皆さんは、結構満足されているっていう感じかなあ?

ええ。本当に。院生の雰囲気もアットホームですし、ソフトボール大会もありますし(笑)。

えー。そういうのがあるんですか。

これからは、バレーボール大会もあります。コース毎にちゃんとユニフォームなんかも作って(笑)。

一同えー。すごい。

それで、みんなで盛り上がる、みたいな。学校っぽいところがあります。そういうことも、いい意味で、いい雰囲気を作っているなあと思います。

それに適応できるかどうかが、教員文化を持っているかどうかの分かれ目だったりして(笑)。教師のハビトゥス。きっと、そういうものを持っている人が、教員採用試験に受かるんじゃないかな(笑)。

そんな感じで、雰囲気も良い中で、みんなで教員採用試験に向けて、一緒になって頑張ろう、みたいな感じで。だいたい皆さん、教員採用試験合格が目標なので、そこも一緒に頑張れるいいところかなあと思います。だから、上越教育大に進学して、教員採用試験を受けて、教師になりたいと思っている方は、結構満足度が高いのではないかと思いますし、周りも来て良かったって言われている方が多いです。

中ゼミの卒業生が最大派閥を形成しているそうで(笑)。

ははは(笑)。

そりゃそうですよね。あれだけ行けば(笑)。

今年受験する学生が、上越に下見に行ったときにも、Y君はじめ、中ゼミの卒業生たちが、本当によく対応をしてくださいました。本当に助かりました。ありがとうございました。

じゃあ、次は、H君、お願いできますか。

東北大学大学院の修士2年です。

僕は、学部は文学部なんですが教育学専攻でした。ただ、そのときは、教師になりたいから教育学というよりも、教育とは何かということを考えたくて、教育学を専攻していました。その後は社会人で、教育とは全く関係の無い、不動産会社で3年間働いていました。ただ、大学時代のアルバイトや不動産会社で働いていく中で、人前で何か説明したり、後輩に教えたりしている中で、結構教えるのは楽しいなと思うようになって、改めて教師を志望するようになりました。教職の単位は、少しだけ、学部時代に取得していたんですが、教員免許は取得していなかったので、大学院に行きながら教員免許を取得しようと思って、それで、中ゼミで高橋先生にお世話になって、東北大の大学院に進学しました。

H君は、高校の地歴の先生になられるんですよね。競争倍率が非常に高い高校の地歴の採用試験に、初めての試験で合格されるなんて、本当にすごいですよね。

本当にすごいですね。

教員免許は高校の地歴・公民と中学の社会を取得しているので、教育実習は中学校に行きました。母校というか、母校が廃校になってしまったので、母校の統合先の学校に行ってきたんですけれど。中学生とうまくやれるか、心配だったんですけれど、すごくいい子たちで、授業にもすごくよく反応してくれて、そのおかげで、僕もすごく楽しく、授業をさせていただくことができました。最初は、教えるのが好きで教師になるっていうことを考えていたんですけれど、教育実習で子どもと関わる中で、子どもと接すること自体がかなり好きだなあと感じることができました。本当に実習は良かったです。先生方がすごくよくしてくださって。

自分の意外な面が見えた、というか(笑)。

ええ、自分の意外な面が見えました。

ちょうど駅伝大会があったんですが、子どもたちと一緒に準備運動をしたり走ったり、応援したりしていて、すごく楽しかったです。最後にお別れ会を開いてくれて、フルーツバスケットを一緒にやって帰ってきました。

一同いいなあ!

フルーツバスケットで負けると、子どもたちから何か質問されるんですよ。それで「先生の好きなタイプの女の人はどんな人?」とかって質問されて。

一同(爆笑)。

何回か座れないと、そうなるんですよ。こういう罰ゲームなんです。好きな質問をしていいっていう。

ほんと、子どもたちと関わるのは面白かったです。女の子はちょっと、難しいところもあるかな、と思いましたけれど。中1のクラスに配属だったので。中3くらいになると、女の子も物おじせず、聞いてくれることは聞いてくれるんですけれど、中1ぐらいだと、僕ぐらいの年齢の男性には、ちょっと近寄りにくいというか。新任で1年目の男の先生もいらしたんですけれど、やっぱり女の子は難しいって言われていました。男の子は、一緒にスポーツしたり、走ったりすれば、コミュニケーションが取れるんですが。辛い思いをしたといか、そういうわけではないんですが、女の子とは、仲良くなるまでが大変だなと思いました。

本当に教師になれるというので嬉しいです。それだけで十分です。

本当にH君、教師っぽくなりましたね。

ほんと、私、今日、初めてお会いしたんですが、まさに教師って感じです。

教育実習の経験が大きいのかしら。

それもあるかもしれませんが、2年間、塾の講師や家庭教師で、中学生を教えていましたから。週3日くらい、教えていましたから。

先ほど、Yさんのお話をお聞きしていて思ったんですが、東北大は、上越教育大とは全然違いますね。教員免許を取得したいという院生は、教育学研究科でも、どちらかと言うと、イレギュラーな存在ですし。僕なんかは教職の授業に出ている人たちと「俺たち、アウトローだからさ」みたいな雰囲気で(笑)、仲良くなっていました。大学院を中退して、教員になるという人、何人もいます。

大学院って、目的に合うところに行くということが大切ですね。

そうですね。東北大は、研究者養成を主目的としている大学院ですから。

あと、東北大の院生は、僕みたいに外部から来ている人も多いです。それから、教育関係の仕事をしていて、お休みで研究に来ているという方も何人かいらっしゃいます。

なるほど。H君、ありがとうございました。

では、Mさん、お願いできますか。

私は、群馬の国公立大学の出身で、大学では中学・高校の美術の教員免許、それから、大学と提携している通信制大学で小学校の教員免許を取得しました。出身の大学には「小学校教員免許取得プログラム」というのがあって、小学校の教員免許を取得することができました。ですので、大学生のときに、小中高の教員免許を取得していました。教育系の大学ではないのですが。

群馬県って、前は、小中の教員免許、両方が無いと、教員採用試験が受験できないんでしたよね。

今は、中学校の教員免許もしくは小学校の教員免許だけでも受験できます。ただ、何年か前までは、それで採用になった場合、どちらかの免許だけだったら、もう一方の免許を取得しなさいと言われていたそうです。今は、それが無くなったのですが、私は両方の教員免許を持っていたので、小学校と中学校の併願で受験できました。ただ、来年からは併願ができなくなってしまうのですが。それでも、群馬は小学校と中学校の間で人事異動があるので両方の教員免許を取得する人が多いと思います。

そうなんですね。

両方の教員免許を取得されていたから、Mさん、中ゼミに通っていらした頃、すごく頑張っていたなあと思います。大学で教職を履修して、通信制の大学で小学校の教員免許の単位を取得して、中ゼミの勉強もして!しかも、群馬から中ゼミに通っていらして。

電車がきつかったです(笑)。

そうですよね。

それで、お金が無いから、バイトもしていて(笑)。電車代、稼がなくちゃ、と(笑)。

大学にいるときには、まだ、教師になるという決心があまりついていなくて。で、英語も好きだったので、英語の教師になりたいとも思っていました。それで中ゼミに相談に来ました。それで、中ゼミに3月から通学し始めて、6月に教育実習があって、そのときに初めて、小学校に教育実習に行って、それがすごく楽しかったんです。プラス、高橋先生の授業で、小学校の教育実践のお話をお聞きして、小学校の教師になりたいと思いました。なので、英語はもういいやって(笑)。それで、小学校教師にしぼりました。

去年も小学校の教員採用試験を受験しました。埼玉県です。一次試験は合格したんですが、二次試験で落ちてしまいました。どちらにしても、大学院にも進学したかったので、進学しました。臨採で現場に出るか、悩んだりもしたんですが、自分の経験も少ないので、群馬大学の教職大学院に進学しました。

今、修士1年なんですよね。修士1年の教員採用試験合格について、少し話していただけますか。

群馬県は、教員採用試験に合格すると「保留」にすることができるんです。修士1年で教員採用試験を受験して合格すると、修士課程の「修了」が採用時の条件になるんですが。私の場合、今、修士1年で中退して、来年4月から現場に出ることはできるんですが、一旦保留にすると、修士課程を修了しないと採用されないということになります。

修士2年になったら、修了が条件、ということですね。

はい。あと、留年もできない、最短年限の2年で修了しなければならないということになります。群馬大学で群馬県の教員を養成したいというのが強いようなので、本当に群馬大学に行って良かったなあと思っています。

でしょ?(笑)

はい。すごいです、本当に。群馬で教師になりたいのであれば、群馬大学がいいと思います。はじめは、早稲田大学や東京学芸大学も考えてはいたんですが、大学院の受験のとき、群馬県の教師になりたかったので、群馬大学を第一志望にしました。群馬大学の教職大学院に進学して、本当に良かったなあと思っています。

教職大学院の場合、群馬県の現職教員の方たちも、結構いらしてますか?

教職大学院は、今、私の学年は16人いて、そのうち12人が現職の先生で、私みたいなストレートマスターは4人だけです。現職の方々は、籍は勤務先の学校に置いておいて、長期研修という形で大学院にいらしています。職場から離れて昼間、大学院に通学されるという、フルタイムで院生をされています。

私は大学院に進学して、本当に良かったと思っています。現場の先生から学べることが本当に多くて。前期は本当に忙しすぎて。教員採用試験と大学院の授業と、結構忙しかったです。授業は10コマくらいだったんですけれど、グループでの発表が多くて、空き時間に現職の先生方と一緒に集まっていろいろと話したりしていました。自分が現職の先生方のレベルについていかなければならないので、かなりハードでした。私にとっては。学校経営のこととか、全くわからなくて。こういうときはこうするんだよと、いろいろと教えてくださるし、院生室みたいなのが設けられていて、皆でいろいろな話をしたり、そういうことが自分にとってはすごくプラスだな、と思います。

採用試験も手厚くみてくださいました。大学の先生方も、校長までされた方や採用する側を経験した先生がいらっしゃるので、そういう方が面接対策をしてくださったりとか、学部生に交じって面接練習をしたりとか。授業も、採用試験に重なるものがありますし。二次試験でどう答えたらいいんだろうっていうのは、一緒に勉強している現職の先生方にお聞きして、先生方から教えていただきました。本当に、皆さんの力で、教員採用試験に合格することができたんだと思います。

本当に大学院の雰囲気って違いますね。

今は、もう少し研究を頑張らなくちゃなあと思っています。

でも、教職大学院には修士論文は無いですよね?

はい。修士論文は無いんですが、その代わりに課題研究というのがあって、最後にまとめの発表会があります。ある程度はまとめて出さなければいけないので。

課題研究のテーマは、小学校の図画工作です。が、まだ、迷走している段階で(笑)。後期もずっと実習だったので。今、先生方にご指導いただいている段階です。

課題研究は、私のところは文献だけではだめで、必ず、実践をしなければならないんです。実践をした上で、実践がメインですね、実践、来年一年間はずっと教育実習なので、ずっと現場にいて研究授業をして、それをまとめるというようになります。論文と実践をどういうふうに結びつけたらいいのかっていうのがよくわからなくて。子どもの現状もよくわかっていないし。そのあたりが難しいです。

修士2年がずっと教育実習というのは?ほとんど大学院には通わないのかしら?

はい。ゼミや集中講座などありますし、少しは通いますが、実習がメインになります。ですので、来年一年間は、提携している学校に、学校によっても少し違うみたいなんですが、ほとんど毎日、その学校に通うことになります。実習の内容は一人ひとり違うんですが、算数をみたりとか、ボランティアのような形で学校に入ることになると思います。クラスには入るようですが。

実習のやり方も、大学院によってずいぶん違いますね。

群馬大の場合は、前期に付属小学校、付属中学校、付属幼稚園、付属特別支援学校4校園に行って、後期は12日間小学校、12日間中学校でほぼ一ヶ月、実習です。やっと今、後期の授業が始まったところです。教員採用試験があったということもありますが、夏休みはほとんどなかったです。5日間くらいしか。8月の終わりから実習なので。それで、前期の授業が8月の第一週までありました。で、採用試験が8月の終わりで、採用試験の5日後には実習が始まっていましたから。

そうでしたか。Mさん、ありがとうございました。

では、Kさん、お願いできますか。

私は今、大学4年生で、神奈川県相模原市の教員採用試験に合格して、来年4月から小学校の教師になる予定です。

私は、そもそも、自分が小学校のときの先生に憧れて小学校の教師になりたいとずっと思っていたんですけれど、大学受験では希望の大学に合格できなくて、前に通っていた大学に進学しました。それで、前に通っていた大学で小学校の教員免許を取得することはできるので、そこで4年間頑張ろうって思っていました。その大学は、小学校、幼稚園の教員免許、保育士資格が取得できるんですけれど、もともと保育系の大学で、授業科目も先生方も保育系の方が多くて、小学校の教師になりたいと思っている学生自体もあまりいませんでした。私は、小学校の教師になりたかったので、このままでいいのかなと疑問に思うようになって、中ゼミを見つけて、高橋先生にご相談しました。それで、三年次編入で、今の大学に合格しました。

そもそも教員養成系の場合は、三年次編入が少なくて。でも私は、三年次編入を希望していましたので、三年次編入の募集がある大学だけを受験しました。編入学後、2年間で大学を卒業して教師になりたかったので、今の大学を受験して、合格をいただきました。

編入するからには、結構皆さん、学校名や国立であることを気にされている方も多いと思うんですが、私は、さっき皆さんがおっしゃっていたように、学歴よりも教師になりたいっていう思いの方が強かったので、教師になるためのサポートがあって、学生さんも教師になりたいと思っている方が多いところならばいいかなと思って、今の大学に編入学しました。私の通う大学は、国立大学でも有名私立大学でもありません。でも、教師になるためのサポートはしっかりしてくれる大学ですし、学生さんもほとんどの方が教師を目指している方なので、編入学して、本当に良かったなと思っています。

三年次編入されて、いかがですか。やっぱり三年次編入は大変でしょ?

そうですね。2年間、別の大学で学んでいたものが、単位として認定されないものもありました。三年次に編入したんですが、体育とか1年生と一緒に取り直しとか。だから、結構一人で授業を受けたりすることもありました。私の場合はそんなに一人でいることが苦にならないので、後輩とも仲良く話して、いろいろ助けてもらったりもしました。ですので、途中から入ったのでそんなに人間関係で悩んだりとかそういうことも無くて。本当に助けられました。周りも教師を目指している人たちなので、みんな人の気持ちを考えてくれるし、仲間にも入れてくれるので、すごくいいところだと思います。楽しくやってます。

教員採用試験の方は大学推薦で神奈川県相模原市に合格されたんですよね。

私は長野県出身ですので、長野県の教員採用試験を受験しようかとも思いました。教育実習は長野県でさせていただきましたので。そこでやっぱり、地元の暖かさとか、子どもたちの純朴さとか、のんびりした感じとか、そういうこともすごく良かったし、先生方も「帰ってきて一緒に先生やろうよ」って言ってくださったんですけれども、やっぱり教員採用試験の倍率ですとか、試験の内容の難しさを考えると、自信が無くて。

それで、大学の先生からも「どうしても地元に帰りたいのか、どうしても教師になりたいのか、どっちなんだ」と尋ねられました。私は教師になりたいという気持ちの方が強かったし、親も教師になりたいんだったら帰ってこなくてもいいよと言ってくれたので、それならば、合格しやすいところ、って言ったらちょっと失礼ですが、教師になるための近道を選ぼうと思いました。今、東京都に住んでいるので東京都の教員採用試験を受けようと思って、しばらく、東京都の対策をしていました。それで、大学推薦が学内で公表される時期になって、神奈川県は、神奈川県と横浜市と川崎市と相模原市と、4つに分かれているんですね。それで、相模原市以外の3自治体は、大学推薦の募集が出た時点で、他の学生が出願するって言っていたんです。でも、相模原市だけは、誰も出願していなかったので、それで先生方も「誰か受けないのかなあ」という感じで。それで私は、地元の長野県に帰るつもりではなかったので、知らない土地で教師になるんだったら、どこでも一緒かあと思って(笑)。もったいない、どうしてみんな受験しないのかなあと思って。チャンスがあるなら行かなくちゃ、と思いました。相模原市が独自採用を始めたのも、昨年度からだったんです。それまでは、神奈川県と合同採用だったので。なので、過去問も無いし、受験者の記録も無いし、先輩の話も無いし。何もデータが手に入らなかったので、無の状況でそこに飛び込むか、本当に迷ったんですけれど、友達や先生に相談して、相模原市の推薦をいただいて、私もYさんと同じで、一次試験は免除していただいて、二次試験だけ受験しました。

二次試験は、面接と……?

個人面接と模擬授業と集団討論と適性検査です。

ですので、国立じゃなくても、偏差値が高いところじゃなくても、自分次第だと思います。

何年かの教職経験があれば、長野県って教職経験者の採用枠があるんじゃないかなあ。

そうですね。なので、ゆくゆくは長野県に帰ろうかなあとも思っています。

では皆さん、他の方のお話を聞いて感じたことがあれば、お話しいただけますか。

感想なんですが、皆さんのお話をお聞きしていて、学歴っていうか、いわゆる大学名はあまり気にされていないなって思いました。やっぱり目指すところは教師であって、大学はそのための一手段でしかなくて。私も、群馬大学卒という学歴というよりはむしろ、群馬県の教師になるために群馬大学に進学したわけですし。教師になるために中退したりとか、教員免許取得プログラムがあるということで地方の国立大学に進学されたり。やっぱり、この大学に入りたいとか、学歴が欲しいからっていうわけではなくて、やっぱり目指すところは教師であって、だからうまくいっているのかなって感じました。

そうですね。中ゼミに来る人って、教育系以外は学歴を目的にしている人が圧倒的に多いと思うんですけれど、教育系の場合は、教師を目指すということであれば関係ないと思いますね(笑)。

教員採用試験では、本当に関係ないと思います。周りからもそう言われたし、自分も面接を受けて、関係ないなって実感しました。面接でちゃんと受け答えができているか、模擬授業ではわかりやすく説明することができているか、そういうところが見られているなあと思います。最初はちょっと、学歴が関係するかなあと気にしてはいたんですが、全く関係無いなあと思います。

私はまだ学部4年で、大学院のことなんて考えたことが無かったんですけれど、大学院に進学することでまた違うことも学べるし、それもいいなあと思いました。

Kさんの場合は、Mさんの大学院にいらしている現場の先生方みたいに、現職教員として大学院に進学されたらいいんじゃないかしら。

そうですね。確かに。いいですね。

では、これから編入学や大学院に進学をして教師を目指している方に、何かメッセージをいただけますか。

本当に教師になりたい方は、まず、教師になりたいという気持ちをしっかり持って、大学を選んでいかれたらいいと思います。後は、中ゼミに高橋先生がいらっしゃいますので、もう間違いないです(笑)。

いやあ、Y君、気を遣ってくれてありがとう(笑)。

いえいえ(笑)。中ゼミでしっかり勉強すれば、編入試験、大学院入試、教員免許取得プログラムの試験も突破できると思いますから。頑張ってほしいなあと思います。

教師になりたいという人にとって、編入や大学院だけがすべてではないとも思います。でも、教師になるにあたってこういうことを学んでおきたいという方は、編入や大学院を目指されるとよいと思います。自分が何を学ぶのか、それをしっかり考えた上で、編入や大学院の志望校を決めていかれるのがよいと思います。本当にこういうことって大切だと思います。僕の場合は、研究一色の大学院で教師を目指すという葛藤の中で、そういう葛藤に悩んでいる仲間に出会えたということもありますから、結果的には良かったかなあとも思っていますが。

私は高校を中退して留学して、高卒認定試験を受験して大学に進学しましたし。最初は、それが大丈夫かな、と心配する気持ちもあったんですが、面接練習で言われたのは、逆にいろいろな経験をしている人の方がいいよ、それを武器にした方がいいよって言われました。今ではこういう経歴のことって忘れていて、自分の中では上手く消化できていて、いい経験になったなと今は思えています。

どういう経験をしていても、どこに行っても学べることはあると思うので、中ゼミに来てもすごく学べることがあるし、大学院に行っても学べることがあるし。本当に自分の気持ち次第だと思います。編入とか大学院に進学するとなると、学歴などいろいろプライドとかこだわりもあるかもしれないんですけれど、私は大学に行くことがゴールじゃないなと思います。

もちろん、教員採用試験合格もゴールじゃなくて、こういう教師になりたいという、目指すのはそこだと思うので、目標を持って努力していきたいと思います。それが一番重要だと思います。そういう意味じゃ、やっとスタートラインに立てたと思います。だから、あまり自分のプライドにはこだわらない方がいいかなって思います。

お聞きしていて思ったんですが、高校中退ですとか、編入や社会人を辞めて大学院に進学するとか、そのイレギュラーな経歴というのは不安になることもあるかもしれませんが、逆に面接でそれを質問されたときに、何であえてイレギュラーなことまでして、教師になる道を選んだのかということが問われるので、そこで自分の思いを言えれば、逆にそれがものすごくプラスになると思うんです。そのときに重要なのが、しっかりとした動機ではないでしょうか。そのイレギュラーなことを選ぼうとした動機が、学歴だとか、そういうことだったら、強い思いが出せないじゃないですか。だから、動機の部分はとても重要だと思うんです。正しい動機というか。そこがしっかりした動機だったら、イレギュラーな経歴であったとしても、いい結果に結びつくと思います。

そういう点で、皆さん、本当にぶれなかったですよね。中ゼミにいらした頃から。どういう経験であっても、プラスにするのかどうかは、その人次第なのかもしれませんね。

本当に皆さんがおっしゃっていたことと同じなんですけれど、私自身、やっぱり若干は、編入したことが不利になるんじゃないかって心配していました。途中で辞めたっていうことですから。実際、質問されたんです。どうして編入を、そこまでして大学を変えたんですかって。でも、今、皆さんおっしゃっていたように、目標があって、自分の強い気持ちがあったので、ということを正直に申し上げたことで、結果として合格をいただけたと思います。ですので、編入したことが全然マイナスにはなったと思っていません。むしろ、そこまでして教師になりたい、教師になりたいという強い気持ちを伝えられれば、むしろプラスになると思います。ですので、イレギュラーな経歴というか、編入ということのマイナス面は、全然気にする必要は無いと思います。一つの目標が、最終的には教師になりたいという強い目標が決まっていれば、大丈夫だと思います。挫折無しでとんとん拍子にいく人生だけじゃなくて、私みたいに大学入試に失敗して、遠回りして編入してというように、周囲と違う挑戦をしたとしても、全然恥ずかしいことでもないし、それが強みにもなるし、自分の自信にもなると思います。

そうですね。皆さんを見ていると、本当にそうだなあと思います。

私が昔お世話になった先生は、若い教師の実践記録をまとめた本を出版されていました。私も皆さんと、『教師一年目の実践記録』というような本を作りたいなあと思います。

皆さんのご活躍を期待しています。

本日はありがとうございました。